春の日、膿んだ傷みの反芻/ホロウ・シカエルボク
をすでに怖れてしまっていたのだ、そこから何かが返ってくることを
それが装いであれ正直であれこの上なく怖ろしいものに違いなかった
強い想いの中に本物の恐怖がある、飲み込んだ空気に少し砂が混じるみたいに、強い想いの中にある本物の恐怖
青信号のメロディが聞こえる、僕はそこに向かって歩いたりはしない
行く先を忘れたみたいにずっと腰をおろしている、頭の中には確かに当面こなさなくてはならないことがあったはずだけれどそんなことはもうどうでもよくなって
そんなことはもうどうでもよくなって空を見上げたり汚れた靴の先を眺めたり
深呼吸を繰り返した挙句肺の空気を一瞬すべて失って、「どうか」という言葉の正しい
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