春の日、膿んだ傷みの反芻/ホロウ・シカエルボク
 
けて、咲いたばかりの淡い花弁は覚えられたとたんに忘れられる
いつもは留まらない記憶ほど、こころには果てしなく響くのかもしれない
雨が多すぎたあの年には、甘い香りが余り無かった、今にして思えばそれがすべてだったのかもしれない、苦しみや悲しみが
よく出来た絵画のように思い出されてしまう今となっては、もう
もう余り水を吹き上げなくなった中央公園のベンチに腰を下ろして
バターロールのような雲が飛行船のようにしとやかに移動するさまを見ていた、ハロー、聞こえますか
こちらは少し埃がひどいです
通信は誰かと繋がるためのもの、いったいこれまでに幾度、オフのままの通話口に呼びかけてきただろう、返事をす
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