駅・橿原/たりぽん(大理 奔)
 
る女の子でした。きっかけは「あまがしのおか」への道を訊かれたことでした。なんでも奈良盆地を走るレイラインというものがそこを通っていて、聖徳太子や蘇我入鹿もレイラインの通る井戸から神秘の力を得て朝廷に君臨していた、などというお話まで聞かされたのでした。ちょうど仕事場の前の緩やかな坂道を剣池の方にまっすぐ進めば「あまがしのおか」に着くので、午後の始業時間に遅刻しそうな私は二人の話をぼんやりと聞きながら仕事場に戻りました。別れ際には手を振ったかも知れません。しばらくして、飛鳥川にとんぼの季節が来る頃。私の職場は斑鳩の法隆寺の近くに移転してしまい、すっかりそんな事なんか忘れてしまいました。

それから
[次のページ]
[グループ]
戻る   Point(2)