二度と羽ばたけない羽なら捨てることもまた飛ぶことだ/ホロウ・シカエルボク
 
いるというだけのひとつの物音のような物体に)
配列の狂ったものたちが汚れたみぞれになって憧れの屋上を静かに鳴らしている、ああいう静けさをいつの間に無くしてしまったのだろう?
(生まれ落ちたときに母親の乳房よりも先に本当は求めていたもの)(惜別の間合いだけは本当に秀逸になったものだよ)
死んだ浮浪者のコートのポケットには誰にも読めなくなった遺書があった、ここで語るほどの理由もそこにはないけれど
死んだ浮浪者のコートのポケットには誰にも読めなくなった遺書があった
窓から吹き込んだみぞれが控えめな太陽を反射しながら足元に散乱したガラスの破片を弾いた
死んだ浮浪者のコートのポケットには誰にも読
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