音楽的詩論 一限目 「君が代」/風見鶏
 
てよ盛り上がってくれてよ
――俺がよ君がよ大好きだぜ

――大阪城ホール演奏中のMCより抜粋

 清志郎の『君が代』が曲を卑下するだけのアレンジであったのならば、こんな言葉は出ないだろう。
 演奏中に清志郎は『君がよ』という言葉をオーディエンスを指差して言い、『大好きだぜ』という言葉で締めた。
 だからこれは国歌に対する中傷でも卑下でも無く、純粋な和歌『君が代』のカヴァーなのだ。
 清志郎は左翼的思想とは無縁に『君が代』本来の意義の一つを掘り返したに過ぎない。



 少なくとも明治政府の成立以降、国歌として制定された『君が代』の中には天皇を賛美する意義が多分に含まれている
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