夏野雨論 〜撃ち抜くのは、つよいことばなんかじゃないよ〜 /umineko
銀の弾丸がかすめとぶ
「置手紙」
小さな動物である彼女の内部から放たれる、弾丸ということば。押し付けでも計算でもない、しかし確かでつよいベクトル。あるいは夏野さんが屈強なタフガイであったなら、もっと違った意味を持つはずだ。ことばが、声を得て広がる意味を持つ瞬間。その瞬間に立ち会える幸福。
ことばは生き物だ。私たちは、意味を伝えるために、ことばを投げる。そして、多くの場合、間違えていく。ことばは生き物だから、自分でほろほろとどこかに行ってしまう。みち草をしたり、川土手でぼんやり空なんかみてる。
彼女の中にすむ弾丸は、どんなスピードなんだろう。じ
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