記名の呪縛/岡部淳太郎
なみに、父親は私が生まれた時に「淳太郎」とか「淳也」といった名前をつけようとしていたらしいのだが、母親がそれならシンプルに「淳」でいいじゃないかということで命名されたという経緯がある)、そのふたつをくっつけただけの名前である。何とも安易なことこの上ないが、ここには第三者が納得しうるような立派な根拠などない。ただ普通の名前に見えるので、そのぶん奇異に感じることも少ないというだけの話だ。どだい筆名の由来など本人以外の者にとっては根拠の薄いものでしかありえないのであり、ただ字面や響きの違いで奇異に見えるというだけの話だ。
さて、この岡部淳太郎という筆名を使っている私だが、いまやこの筆名がすっかり板に
[次のページ]
戻る 編 削 Point(9)