記名の呪縛/岡部淳太郎
 
、名前がどろどろとしたエゴを前面に押し出す装置になってしまっていて、その名前の所有者である本人も他者も、名前が押し出すエゴを感じ取らざるをえないようになっている。そのような、見方によれば醜いとも言えるエゴの表出から距離を置きたいと、「若い詩人たち」は考えているのではないだろうか。詩を書いてそれを発表するという行為自体が醜いエゴの表出であるとも言えるのだから、何をいまさらという感じがしないでもないのだが、作品を通してエゴを表出してしまう自分と、そうして滲み出してしまったエゴにとまどってしまう自分と、正反対の感情のベクトルをいまの「若い詩人たち」は持っているようにも見受けられる。だからこそ「奇妙なペン
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