手をつないで/小原あき
 





土になった少年は
利かない自由に
苛立ちながらも
地球の活力になっているのを
知っているのだろうか


美しい彼女を手に入れたい
だけど、受け入れたり
捧げることしかできない自分
奪うことなどできない自分
それすらも受け入れるしかない
そんな日常に
すっかり慣れたあの日
彼女が種になって
自分に抱かれたことに
祝福の涙を
空にいる彼から
贈られた雨は宝物




木になった鳥は
あまりにも動かないでいたことに
後悔していた
きっと、あのとき
仲間と飛び立っていれば、と


足下の花が
いつも笑いかけている気がした

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