/渡邉建志
た。石はぽつんと音たてて、2つほど大きな波を作ったっきり、すぐ沈んでしまった。子どもは
リスにすら、気づかなかった。子どもの様子が先週と違うので、リスは要領を得ず、そのまま木
の斜めを駆け上がって、見えなくなってしまった。くもりぞらだった
*
アパート。白い。僕はあの人の部屋をトントンと叩く。僕はもう遠くへ旅立つことにしました。
その前に一目、お会いしたくて。あの人と少年を連れて僕の部屋へ。部屋ではルームメイトが寝
転んでイルカの図鑑を読んでいる。イルカの研究者になりたいんだ(あまり需要がないけどね。)
僕は遠くに行く前にあの人にもう一度キスがしたい。そんなに無理す
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