/渡邉建志
 
がらせたくないので僕は心臓のことを言いませんでした。安らかにあなたは逝き
ました。再起動。貴女はまたかなりの確率で心臓が止まることになっていたのですが、今度は抱
きしめていても貴女の心臓は止まらないのでした。僕は涙を流して喜んだのですが貴女はあの青
い空の下、裸で不思議そうな顔をしているだけでした





 子どもは石をほうりなげた。ほうりなげたなり、くるっと回って、池の横の木に隠れた。春の
午後2時の日差しが、葉っぱ達の向こうでまぶしくきらめいていた。リスが木の斜めをするする
下りてきて、子どもの様子をうかがった。子どもは木の後ろから盗むように、池の水面を見つめ
た。
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