さかな/折釘
 
丁は何か不安なさかな
死んでからしか新鮮と書かれない
やがてタイムサービスと呼ばれて
目をむいた姿の
ラップにはりついて皮膚呼吸することがさかなで
それとも病葉の積もった河底に仕掛けられた罠が
真夜中に囁く声をいっそう聞いたからなお黒光りしてゆくくびを
板に打ちつけられて世界ごとくねらす渦で触れた
板前の指との恋にも精神にもならない刹那

語らってはならない
塵同然の街の影で猫に玩ばれるさかなよ
お前は蕭然とし
聞こえてもならない
波打ち伸びた耳の線に連続して宿す
ちいさな振動にも泳ぐ道すら失い

幾つかの腑で分解されて熱を発していた
腕の中で飛沫と叫び続ける憧
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