虚偽と忘却のエピソード/atsuchan69
置いた六畳の間が外側に剥きだしになったまま安全かつ超高速で宇宙を飛行する。――これもまた、素晴らしい研究の成果のひとつだ。――おそらく太陽系圏内であるなら、惑星間の移動はおよそ数分内で行なうことが可能となるだろう。さらに、それほど遠くない未来の社会では、電磁波による思考操作によって犯罪も激減する。これらはすべてフルフルの研究の恩得といっても過言ではない。――友よ、今こそ真実を話そう。――光の影は悪魔だが、悪魔の影は光なのだ!」
「ええと。あのー、お前の言っていることだけど。ぜんぜんわからんぞ」
すると、今までは夢心地だったYの眼が、とつぜん攣りあがった。
「それは君自身の問題だ。真実を
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