虚偽と忘却のエピソード/atsuchan69
 
かなり弱らすことは可能だ」
 信号機に、さわやかな碧の光が点った。

 そうして眼の前は、某省の正面出入口だった。
 「マジかよ?」
 Yは、手に持ったIDカードを受付側にかざしてクルマを進入させた。
 「マジさ、今から情報本部管轄の大深度地下にある秘密施設へ行く」 
 「だ、だけどわたしは一般人だぞ」
 「いいや、君は十分知りすぎている。もはや一般人とは言わせない」
 Yは、得体の知れぬ笑みをうかべてわたしを見た。
 「お前、本当は情報本部の人間だったんだな」
 「ちがう。俺は、総理直轄の科学忍者隊に所属している」
 「――なんだかな。嘘くせーぞ、マジかい?」
 「マジ
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