虚偽と忘却のエピソード/atsuchan69
物なんだ?」
左ハンドルを握りながら、Yは私を見た。
「性的二形性をもたない雌雄同体の生物で、成長すると約二十メートルくらいにまでなる。ほとんど姿かたちは爬虫類の肌をしたステレオタイプの『悪魔』だ。ちょうど牡鹿のような人懐っこい面をしているが、繁殖期に好んで人を捕食する。生体固有の能力として重力の制御ができ、全身がプラズマのシールドで包まれているため成体となったヤツを人の手で殺傷するのはかなり難しい」
「ふむぅ。いつから地球にいるんだよ、その怖いやつ」
「おそらく太古からだ。しかも人類の一部‥‥権力者たちは、フルフルを『武力』として利用してきた」
「どうやって?」
「餌付け
[次のページ]
[グループ]
戻る 編 削 Point(9)