あやとり/千月 話子
 
小さく ふくよかな 指に絡まる 毛糸の輪っかは
橋になったり タワーになったり ホウキになったりして
幼い僕等を さんざ 楽しませてくれたもんだ

女の子の遊びだって 解っていたけどさ
僕は あの子とだったら いつまでも
絡んでいたいなぁ なんて思っていたよ

これが 初恋っていうものなんだって分かったのは
イタズラで付けた 家の柱の背丈のキズが
その頃より 3cm上に 伸びた頃だったね


夏休みの かったるい朝に
母さんの よく通る声で 目覚めた・・・
電話口で 今日 5歳上のいとこが
遊びに来るって 聞こえたから
少し低血圧気味 らしい 僕も
すっかり 目
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