あやとり/千月 話子
 
 目が覚めてしまったよ


初恋の少女は 17歳で
結った髪に 紺地の浴衣
大きく開いた 花模様の柄みたいに
すっかり 大人な女に見えた・・・

僕の部屋に散らばった 宝物のガラクタを
拾い上げては クスクス笑い
フワリ 見つけた 毛糸の輪っかを指にかけて
「懐かしいね。」と言いながら
一人で あやとりに夢中みたい

赤い糸に 絡まる指に
銀の指輪と 淡色のマニキュア
もう 小さい頃には戻れないよ 
と 言うように
細く 滑らかに動くそこに
僕はもう 入れないような気がして
ただ 笑って 見つめるだけだった・・・

初恋の人よ 
夏祭りには 手をつないで歩こうよ
まだ小学生の 僕だから
小さな子供の ふりして
ギュって 握ってても 構わないよね







 

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