サークル/鈴木
くように声を出し。首を捻り、地団太を踏み、肩をそびやかし。自己自身のイマージュへ手を砕きました――十次元のダンス。十次元。そう、けれども憑き物とはいえど、それはマラルメではなく僕自身への接近に他なりませんでした。この瓜実顔の十八歳は、猥褻で矮小なエロ餓鬼でしかありませんでした。なぜならば、表現の発端からして、しょせん、固有のしかし存在しない異性への使い古された餞、つまり一大学生が夜な夜な繰り返していた性的衝動の開陳に過ぎなかったのですから。自涜は喝采を浴びました。僕は愚かしくも芸術の一端を垣間見た気になって高揚していました。そしてその夜たらふく飲み、手を繋いで去る幹事副幹事を笑顔で見送り、翌朝よう
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