サークル/鈴木
気が乗らず、まずは愛着のある文学作品に手を付けました。ありきたりな選択ですが興味こそ海馬へ向けた至高の肥料でありましょう。五月五日こどもの日に開かれた昨年度第一回記憶発表会における僕の児戯は――有体に内容を説明すればマラルメを三十篇トランス状態で朗誦したのですが――好評を博しました。トランスと申し上げますと、「苦悩」の「今宵はお前の肉体を征服しに来たのではない」という一節を読み始めた瞬間、かの入会を決心した夜に揺曳していた幸福を見出した僕は、精神分析でいう「昇華」にあたるのでしょうか、パッションのフリクションとでもいったおもむきで象徴派詩人を憑依させたのであります。轟くように、あるいは、さざめくよ
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