サークル/鈴木
 
に汚らわしい猿に触れていたことを。僕は言いました「すみませんでした」。彼女は言いました「わかればいい」。この瞬間、周りの喧騒が失われ、単に人が通り過ぎて行くだけで何も聞こえなくなりました。僕はやっと彼女を勝手な妄想としてよりも確固たる大学三年生の実在として見られる、と思いました。「先輩」「はい」「僕はあなたが」「わかっている」「はい」「でもそれ以上言ったら殺す」「はい」「お疲れ」「お疲れさまでした」そうして再び、今度は力強く立ち上がり僕を見て「ありがとう」はっきりとした口調で述べました、光の輪を帯びた、初めて会ったときのまなざしで。ふらつきながら改札の向こうへ歩いていったはるか先輩を見送りながら僕
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