サークル/鈴木
 
の原材料を並べ立てるだけの地味な男でしたが、昨年の学校祭で「僕はもう記憶はやりません」と宣言し、以来ひたすら自分の即興小説を吟じるパフォーマンスを続ける変わり者であります。サークル内での目立った人間関係もなく、なぜ会に出入りしているのかは、謎です。かけもちする文芸サークルで作品を発表しているらしく、付いたあだ名が文学かぶれ。わずらわしいので略される場合も少なくありません。「文学じゃん! おいでよ、退屈していたところなんだ」僕が反応するより早く、はるか先輩がてまねきをしました。「先輩、退屈って」「だって本当なんだもん」「いやはや二人とも相当に飲んでいらっしゃいますね」僕をはるか先輩と挟むかたちで座っ
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