サークル/鈴木
つのあやまちを犯していた。一つ目は、彼の採った手法が小説界全体を見渡した場合に目新しいものではなかったこと。二つ目は、登場人物を支配下に置こうというエゴイズムに取り付かれたあまり本来の主題を見失ったこと。そして三つ目、最終かつ致命的な過失は、彼の、自身が何者なのかを理解していなかったこと。――
――すみません、耳鳴りがしていたもので。体調ですか、平気ですよ、酒の醍醐味は寒気と鳥肌って渋谷初代幹事のお言葉をお忘れですか、ほら今年の合宿に立ち寄っていただいたとき、飲み会の席で仰っていたではありませんか。話を続けましょう。一時間前の「ぽおつ升」には最新の邦楽やら知人の無能を嘆く愚痴やら中道右派学生
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