サークル/鈴木
 
この世界を構成する作者が運命を操っているんだ! そうじゃなきゃあんまりだ!」。映画――二〇〇七年五月十九日に公開された――に触発されたと思われるありきたりな発想ですが、なるほど示唆に富む思考法であるとはお思いになりませんか。文学かぶれが言うには、詩がイメージを空間へ貼り付ける作業であるのに対して小説はイメージを秩序化して並べていく足掻きであるということです。ならば僕だって、並行する出来事を語りという時系列に沿って列挙せんと試みているのだから、やはり作者の資格がありましょう。もっともこの小説の主人公は「でも作者もナンセンスだよ。こんな普通な人間をちょっと不幸にしただけでは面白くもなんともない。きっと
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