サークル/鈴木
へ下へと流れていきます。服から布団、床を侵食し部屋の外、階段を滑りアパートの出入り口からアスファルトを覆い道端の木の根の先々へ。排水溝を流れ落ち、川を辿り海、暗い海の底、あんこうに食われ糞になりなお潜って地球の核へ。僕は分裂します。拡散します。無へ。「喰へ」ふと気がつくと元通り、自室で天井の染みのかたちに美を求めている西島匠が確固と存在していました。妄想へ耽溺していても臓物は働くらしく、腹の虫はぐうと不満げに宿主を詰ります。窓へ視線を傾けると宇宙色が目に飛び込んできて少し驚きました。腹も減るわけです。やおら起き上がって食料を探り「ユウレカ」、ハムと食パンが二枚ずつ次いで二リットル入りのペットボトル
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