サークル/鈴木
 
さかですよう」言うが早いか肩に紙袋を提げた七海が先輩の陰からこたつに滑り込み、袋の口を留めていたセロテープを剥がして一升瓶を取り出しました。僕と先輩は叫びました「大吟醸いそくらてす!」。かくして昨晩の飲み会は期せず高級日本酒品評会となり、先に飲んでいた二人は計八合ずつ、記憶会の中では弱い部類に入る七海は四合の酒を食らいました。そうして大脳新皮質を蕩けさせた三人はへべれけになって無礼講を働いたのでありました。「芳久さんって記憶力ないですよね」「匠よ得意分野ばっか覚えてたら脳が腐るんだよ」「あなたこそ自分で作った曲の弾き語りしかしないじゃないですか」「俺は曲作りが苦手だからいいんだよ!」「ぶっちゃけた
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