サークル/鈴木
 
情は決して抱かなかったものです。だから勝手に上がりこまれたこのときも無論、歓迎し、あとで七海もびっくりするぞ、と浮かれこそすれ邪魔などとはゆめ感じませんでした。「ようこそ」「おう」グラスを差し出し瓶を受け取り酒を注ぎ合い杯を交わし、一気に飲み干し息つきをつくと僕は笑って切り出しました「ギター背負っていらっしゃるってことはバンドの練習ですか」。芳久先輩は自分で二杯目を注ぎながら「いやサボタージュした」と言いました。「そうなんですか」「俺はレニー・クラヴィッツの生まれ変わりだから練習しなくてもよろしいのだ」「まだ生きていますけれどね」「ならばジョン・フルシアンテでもいい」「彼も生きています。要するに先
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