サークル/鈴木
 
けで、はるか先輩の話が終わるころ、単純計算で累計一升もの日本酒かっ食らった僕は、胃液のかぐわしきにおいをかぐために席を立って走りました。幸運にも空室を確保し西洋式便器を抱え込むとあとはげえげえするばかり。不思議なもので排泄とはすべからく快いものであります。このとき僕は恍惚と、神経と筋肉をほどき一本の繊維となって毛穴から抜け出して実存から剥離していきました。行き先は時空を越え前日に及び、欲情と悔恨と復讐心がデカルコマニーされた霧となって、自室の六畳いっぱいに広がりそのまま、てっきり真実だと思い込んでいた出来事を、この身は便座にうつ伏したまま、魂だけで追体験した次第であるのです。
 昨晩七時、コタツ
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