瞬きのうちに夜になる?シタール/ホロウ・シカエルボク
俺はそれを文語的表現だとは特に思わない、文語的表現について口を酸っぱくしたがるのは―現実の痛みや痒みを詳しくそうと知らない奴らばかりさ
狂った虫の乱れ飛ぶ日向の幻想、潔く晴れた冬の温度をおまえは知らなかった、それはもちろん俺だって…暴発を繰り返す安物の銃、それを素敵だと言い張る安物のおまえ―塀の上で血を吐いた猫はすでに死出虫で塗れていた、硬質な羽の音…マスタリングのきつすぎるシタールの弦のような…塀の下にいた犬はどこかに行ってしまった、血のついたそいつの足跡の続く先で中年の女の叫び声が聞こえた、喧騒…何か重たい肉を打つような音、あいつもきっと死んでしまうんだろう―哀しみなんて語るものじゃない、俺
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