「 裂けるため、の眼の。 」/PULL.
まわりをけたけたと、大股で、雨脚が笑い回るのであなたの家はさらにうなされごぼごぼと、咳き込んで、家中の家具という家具を玄関から、吐き出しました。吐き出された家具たちは次々と、雨脚たちが持ち上げて、近くの夜の水溜まりにけたけたと、投げ入れます。投げ入れるごとに雨脚の笑いはおおきくなり、おおきくなるごとに水溜まりもおおきくなり、ひろがり、激しく、波打ち、笑い、家具のない、やせ細ったあなたの家を揺らし、濡らします。
六。
ふやけた眼球はぱちん!。
と、音を立てて弾けたので瞼は窪み、入り江の奥へと雨脚は歩を進め、かわききった浜辺にひたひたと、足跡を付ける。
天窓からはじりじり
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