ホースで水をかけてくれ/プテラノドン
声だけが辺りに響き渡った―その夜、
還らない身の振りかたが如何にせよ、
車輪は今にも外れそうだった。
二人乗りで、順繰り、順繰り、
ペダルを漕いで逢いに行った。
女友達の働くスーパーマーケットへ、
そして泥だらけの素足の格好を見るなり彼女は、
「馬鹿じゃないの」と、ほとんどそれだけで
すべて汲みとった様子で、
駐車場の隅で、乾いた足首と、それから
頼みもしなかった首筋にまで、
ホースで水をかけてくれたけれど、
僕ら自身、気づいていたのかな。
たとえば、底抜けに凛々の笑顔に。
冷たくなっていく水道水よりずっと。今も。
それでもおまえは、
「高校時代に会っていたらいっし
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