詩のレスポンスについて、一端。/秋津一二三
 
のが介在しないのならば、他者のレスポンスも不要である。有象無象の他人に「自分の」を表現する。これが基本でなければ何が基本なのか。外へ向かわぬ表現に権利の必要性を認めることはできても、尊厳を守る必要性を認める事はできない。他人を肯定せんでもいいから否定くらいしろ、無視すんな、である。
 かといってそうも言っていられないのが現実である。ちゃんと詩で話せる人間は少ないし、詩で話せるようになった人間が他者に対して誠実とも限らないのである。上手いだけの詩は辟易するほど読んできた。その内の幾つかはコミュニケーション不全ならぬ無視、全く読み手を大人のオモチャにしたものであり、「俺ってすごいだろ」で、「お前はす
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