たましい/Utakata
始めると鉢は奥の部屋に戻る
街へ行かない日
それがいつもの仕事になる
ひと月ほどで
手のひらほどの大きさの先に
魂は小さな花をつける
花の形はひとつひとつ違うが
質自体は誰の魂でもおおきな違いはない
三日ほど咲きつづけた後
それは急に枯れてしまう
種はできないので
同じ魂から二つの花を見ることはない
枯れ切った後
鉢だけが新しい魂のために奥の部屋に戻る
あのときの子供の魂だけは
植えずに小さな硝子瓶の中に取っておいてある
花は
やわらかないい香りがするし
葉からお茶を作ることもできる
身体は温まるし喉にもいいよう
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