雪明かりの王女/beebee
 
スマス・イヴ

 王様は病気で寝ている王女さまの部屋へ行くところでした。廊下には所々にたいまつが灯されていて、松ヤニの焼ける臭いがしていました。外の寒さが暗闇と共に薄暗い廊下に迫って来ているようでした。
  王様はふと立ち停まると、ふもとの町を見ました。廊下からも瞬く町の灯りが見えました。王様は急に幸せな気持ちでいっぱいになりました。自分の国はなんて 素晴らしいんだろうと思ったからでした。しかし冷たいすきま風が吹き掛かかり寒さに思わず身震いをすると、王様の幸せな気持ちはいっぺんで消え失せてしま いました。
『可哀想な王女さえ元気でいてくれたら、二人で楽しいクリスマスが迎えられるのに。』

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