批評祭参加作品■怠惰な物差し ??あるいは違犯と視線について/岡部淳太郎
 
とするのは、個性の異なる者を最初から締め出そうとする態度であり、そこに留まったままではお互いに成長は望めない。長い目で見れば自分にとっても非常に損なことをしているのだ。また、違犯という言葉の本来の意味に立ち返ってそれを法を犯してしまった者としてみるならば、「犯罪者」として白眼視することで彼が社会の中でやり直そうとするのを妨害していることにもなり、それが再犯を誘発することになるのであれば社会全体にとっても好ましくないだろう。
 言ってみれば、違犯者を違犯者としてのみ見ることは、彼を社会全体から疎外すると同時に、そのような視線を送る自分自身をも疎外させているのだ。いじめをした者はその自覚がないという
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