『アクアリウムはエーテル日和』/川村 透
 
いてゆく途中
の岸壁から海底まで貫いて生えている等身大の寒暖計じみた潮位計は
大潮を目指して赤く細く高く危うくて、
でも僕たちは気づかないふりをして観覧車を仰ぐんだ。
と、
遊覧の箱がひとつ足りない欠けている月の骨組、満ち潮に少し足りない、
黒点を穿たれた月の髑髏、じみて、ひびわれたままの輪、
る、る、る、と自転を繰り返しているあの不在の箱、遠くて、
空を指、刺し、揺れる箱を数える、数える、
り、り、り、と数える背の高い男、
「コレを知っているカネ?」ゴンンン、、とメタリックなモニュメントを拳で叩くと、
三日月のメヌエット高らかに、アクアリウム一個師団がゲートを開く、
九百
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