『アクアリウムはエーテル日和』/川村 透
九百人の軍靴のチャ、チャ、チャ、茶色の一群とすれちがいざま、
僕たちは銀色の水族館球、の舌に足をさらわれぺろりと中に飲み込まれたんだ。
あたりは藍色にとっぷりと暮れ、ゼリーの中を手さぐりで行くように隧道を進む
耳ざわりなアナウンスが告げる
「お祝いごとはエーテル流の中で執り行なわれていマス」
足元が、ぼぅと明るくなると、ゆるゆると渦潮に乗って運ばれて、こんどは、
ゴンドワナ大陸ごと移動するアルケロン、亀の背にシマヘビが虹マスがPICT、ぴくと
びくっと、鼻腔を打つ磯のぬ、めり。
誰かが尾行してくる規則正しい軍靴の響き、スツペンデミス
淡い水泡が僕たちの唇からたち昇るああ僕
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