ユダは考え深かった。/生田 稔
 
において、用いられてきた方法論にすぎない。
 一枚の紙には裏と表があるように、くるりくるりと回転し、身を翻しているに過ぎないのが善と悪である。つまりあることが、Aの人には都合が良いがBの人には不都合であってそのためには戦わねばならないという事なのだ。
 悪人といい反逆者という人は、ある規格から外れた人というにすぎない。その外れてしまった当の規格というものが、普遍的な善であるかどうかは大いに疑わしい。勝てば官軍負ければ賊軍というがごとしである。
 もう一つ、糞尿について考えてみよう。幼いとき、「ガリバー旅行記」の幼児向け完訳版を人に借りて読んだ。その中だったと思うのだが、不老不死の国かどこかで
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