批評祭参加作品■食い違う夢 −『私たちの欠落(夏の日の)』藤丘 我流読解−/大村 浩一
を発すること、ことばと関わることのスリリングさと危険を、あん
な風に切りだしてのけた小説は、近ごろの日本にはない。詩人が着目すべき領
域のことを、学者風にでなく、ことばの職人的な手つきで切り出してのけた。
あれこそ詩人からの批評や解題を必要としている作品ではないだろうか。
そういうわけで、フォーラムの中から作品を選ぶ事になったのだが、山下達
郎のように「棚からひとつかみ」という訳にはいかない。山下さんの場合には
何かしら自分にとって見所のあったレコードを棚に納めたから出来るのだが、
フォーラムの場合は本屋や図書館のように、知らないうちに色々な作品やら雑
文が集まってくるのだか
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