僕がしあわせを噛み千切ったものがたり。/示唆ウゲツ
間、僕は尋ねました。
「たいせつなひとなんですか?」
ゆっくり、息をあたたかなコーヒーでも呑むように呼吸をしてから
「ええ。」とまた笑いました。長く、彼女と入ると嫉妬しそうでした。
「ありがとう」という彼女に僕も「ありがとうございました」と返すと、
彼女は薄暗い自動ドアの外へ消えました。店を。店を閉めなきゃ。
ふとケーキケースの上を見ると。ハコにつめたはずの蝋燭がありました。
瞬間、僕はその蝋燭を手に取り、外へ飛び出しました。
間に合う。まだ1分と経っていない。
のそのそした灰色のクルマが僕の前の駐車場から出て行くのが見えました。
運転席には彼女が、したたかに左前方を覗き込んで
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