僕がしあわせを噛み千切ったものがたり。/示唆ウゲツ
 
んでいました。
間に合わなかった。彼女の、彼女のたいせつな日を僕は消してしまった。
彼女は泣くのだろうか。彼女は持ち帰ったケーキを見て、また落胆するのだろうか。
店の前の道路を何台ものクルマが通り過ぎ、時間が過ぎていく実感をモロに喰らう。
彼女は泣くのだろうか。彼女はまた落胆するのだろうか。
遠くには果てない山岳。頂上付近から月が顔を出し、夜を薄めていきました。
透き通って、二度と消えないような不快感が僕にまとわりついてから、
闇に足跡だけ残していくようでした。
店を閉めて、僕はロッカーから煙草を取り出しました。
禁煙は三日続いていました。みせしめに、ここに置いていたのです。
火をつけて、深く吸い込んで。
クソマズイ残りの煙草を、近くのゴミ箱に捨てました。そしてもう一度だけ考える。
彼女は泣くのだろうか。

また明日は、そこでアルバイトをする約束でした。
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