批評祭参加作品■クラシック音楽についての印象/葉leaf
 
■音楽は侵す

 フランクの交響曲ニ短調を聴いていて感じたのだが、音楽はどうやら聴き手の心や体(あるいは心と体が未分化のまま融合しているもの)を侵すようである。

 特に弦楽器は私を削り取っていくような感じであるし、管楽器は私に穴を開けていくかのような感じである。音楽とは畢竟攻撃であって、音楽を聴くことの快楽は被虐の快楽なのかもしれない。

 音楽が鳴り止んで沈黙が訪れたとき、果たして私はへこまされたゴムボールが元に戻るように、侵害された心身を弾力的に元に戻すことができているのだろうか。音楽によって奪い取られたものはなかったか。


■私という楽器

 音楽を聴いていると
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