批評祭参加作品■気分と物語/岡部淳太郎
 
だけの要素が揃っているのだ。それに比して詩の方はどうかというと、わざと関節を脱臼させたり筋肉を痙攣させたりもするし、思わせぶりに置かれた言葉は不可解に映りもするだろう。そのため、詩は門外漢には何のことやらわけがわからないものに成り果ててしまうのだ。それに人々にとって詩はは抒情と詠嘆であるというふうに規定されてしまっているのだから、物語を求めようとする者にとっては興味の対象外になってしまう。古来より集積してきた詩的なものに対する人々のイメージは動かしようのないものとして定着してしまっていて、いくら詩とはそんなものではないと言ってみたところで、人々は定着したイメージのみで語りそこから先に進もうとはしな
[次のページ]
[グループ]
戻る   Point(0)