批評祭参加作品■気分と物語/岡部淳太郎
 
詩が捉えられるようになってしまったのだろうか。この問題を突きつめて考えるには、詩を語るだけではどうも足りない。特に日本において詩の社会的立場が低いように思われるのだから、日本の歴史や日本人の気質といった大きなものを語ってみなければならないような気がする。それとともに、日本の詩の歴史(それは近代詩以降に留まらず、和歌や俳句なども含まれる)を合わせて検討する必要があるだろう。西洋に比べて日本の詩が特異な道を歩んできたことは周知の事実だが、その歴史が人々の間で認知され日本人全体の気質に照らし合わされた時に、一般の日本人の間での詩のイメージというものが形作られていく。その過程をひもといてみたい。
 日本
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