進化の子供たちは/Utakata
な愛を交わす
それは僕たちの夢
螺旋のはるか先に思いをはせながら
瞼のない瞳が見る僕たちの夢
一夜だけの
進化の子供たちが見る無垢な夢
明け方が近づく頃
僕たちは魚の姿に還る
腰まで海水につかって震える肌の上には
たちまちのうちに黒光りする鱗が生え
肺が縮んでいくにつれ
呼吸が少しずつ苦しくなっていく
最後の声を発してしまうと
僕たちは倒れこむようにして水の中に潜る
最後の瞬間
お互いに伸ばしあったものは既に腕ではなく
滑らかな一対の薄い鰭だった
冷たく粘つく粘性の海の中で
次に陸地に上がるまでのあいだ
次に本
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