進化の子供たちは/Utakata
 

僕たちは大地を駆ける
月の下で眠る羊歯の柔らかな茂みを抱きしめ
身体から突き出た全ての四肢を使って踊る
呼吸がだんだんと速まっていき
肺の全ての空気を吐き出して僕たちは空気を揺らす
それらはまだ意味を持たない
それらは多分決して意味を持たない
けれど僕たちはその全てを知っている
渇いた喉を淡水の泉で潤す




上弦の月の下で僕たちは愛を交わす
僕たちは互いの体温の存在を知る
鱗を失くした肌は
酷く心細かったが それでも
高まる体温の裏側に
小さな冷たさが常にうずくまっていて
多分それは
僕たちの魚の記憶の名残だった
空気が震える
僕たちはしなやかな愛
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