山道で蹲る、由美子/N哉
の茶屋で食べた大福にあたったか、はたまた昨夜の魚介に刺されたか。とにかくこの尋常でない痛みから逃れようと、砂利に身体を擦りつけてみたが、擦りきれた腹から血が滲み、地面を赤く染めるばかり。誰か居ないものかと辺りを見渡してみるも、やはり人の気配はない。
腹痛は、引いたかと思えば更に高い痛みへ、引いたかと思えば更に高い痛みへ、徐々に激しさが増し、全身からは大量の汗が吹き出し、意識も朦朧としてきた。これはもう、ただの食あたりとは思えない。
「あらぁ、どうしたぁ?」
一体どれ程の間それを待ったことだろう、たまたま通りすがった老婆が私に声をかけてきたとき、仏様は確かにいらっしゃるのだと心底思
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)