批評祭参加作品■気風は断絶したか?/岡部淳太郎
在における詩的精神はどんな様相を呈しているのだろうか?
あえて稲川が嫌う「状況論的把握」にもとづいて現在の日本の詩の状況を見渡してみる(それが近視眼的なものになってしまうかもしれなかったり、ほんの少し横目でちらっと眺める程度に落ち着いてしまうかもしれないのは承知の上である)。詩集があり、同人誌があり、商業詩誌がある。これはいまも昔も変らないが、それに加えて現在はやたら可能性ばかりが喧伝されてどこか落ち着きのなさげな「ネット詩」というものがある。いっぽうでそれぞれの書き手を軸にして見てみると、田村隆一や吉岡実など戦後詩の分野に華々しく登場した大家の多くは鬼籍に入り、それにつづく世代も日本の詩をリ
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