批評祭参加作品■現代詩の記号論2/葉leaf
して自律性・完結性を持っている。
この主張は、抽象画や音楽についてはある程度妥当する。抽象画や音楽は原則として、明示的には何かの記号ではない。たとえば抽象画はその色や線、構成などによって直接鑑賞者の情緒に訴えかけてくる。何かを指示して、その指示内容を媒介にして鑑賞者に訴えかけてくるわけではないのである。
では、TAは詩についても妥当するのであろうか。詩が言語で出来上がっている以上、詩の記号性は明らかであるが、他方で詩がそれ自身として直接情緒に訴えてくる側面もある。詩が自律性・完結性を示すのは、その(1)視覚性と(2)音楽性の側面においてである。
まず視覚性について。ここで田村隆一の「
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