批評祭参加作品■現代詩の記号論2/葉leaf
」に特に新しい共示義が付加されたわけではないし、新しい記号が創造されているわけでもない。だから意味論的コードは拡張されていない。また、「死人が人を殺す」は、主語−目的語−動詞という定型的な語の結合規則に従っているので、そこに統辞論的コードの逸脱・創造があるわけでもない。さらに、死人も人である以上論理的には行動できるので、選択制限が破られているわけでもない。だから、言語の次元ではこの表現はなんら問題はない。
だが、我々の常識から言って、死人が人を殺すことなどありえない。それは自然法則に反することである。「死人が人を殺す」という出来事は、言語の側から禁止されるのではなく、世界の側から禁止されるので
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