批評祭参加作品■現代詩の記号論2/葉leaf
 
的コードを逸脱したりするのは、言葉になりにくいものを言葉にしようとするためでもあるが、読者の「いいなあ」という反応を得るためでもある。


2.3.4.「世界の法則」というコード

 よく判断できなかったが、彼女らは、何かかすかな歓喜に酔っているらしい。かわるがわる、交替しては、殺し合っているのだ。
 ひとりが痙攣しながら死ぬと、次は、生き残った娘が、死んだ娘に、胸を切り裂かれる。剃刀が閃めき、麻縄が舞い、やがて、彼女らは、ぼろのように、ちりぢりに散乱して、雪に埋まったのである。

粕谷栄市の「犯罪」から引用。ここでは、死人が人を殺している。「死人が人を殺す」においては、「死人」に
[次のページ]
[グループ]
戻る   Point(5)